「お客様は神様」という日本独自の文化において、日本では顧客に対して下手に出る傾向が根強くあります。
しかし、フリーランスや在宅ワーカーとして活動するなら、この考え方は今すぐ手放すべきです。
この記事では、なぜ私たちは無意識にクライアントを「神様」扱いしてしまうのか、そしてその思考がいかに自分の価値を下げてしまうのかについて解説します。
「クライアント=神様」と思い込んでしまう原因とその弊害
なぜ「クライアント=神様」と思い込んでしまうのか?
「自分はまだ未熟だから…」
「怒られたら終わりかも…」
「切られたくないから、何でも言うことを聞こう…」
多くの在宅ワーク初心者が、上記のような『クライアントは“従うべき存在”である』という感覚を無意識に持っています。
これらはすべて、自信のなさからくる“依存的マインド”が原因です。
「怒られたくない」「嫌われたくない」という思考は、見方を変えれば自分が傷つきたくないだけの防衛行動ともいえます。こうした心理は、「クライアント=評価者」「自分=評価される側」という上下関係の構図を作り、必要以上に下手に出る関係性を生むことになります。
しかし、クライアントワークとは本来「問題解決のプロセス」であり、“自分が安全でいられるかどうか”ではなく、“相手にどう貢献できるか”が軸であるべきものです。
CHECK
自分を守るために黙って従うのは、プロではなく“労働者”の発想です。
怖がっているうちは、クライアントから信用されません。
「クライアント=神様」と思ってしまうことの本当の弊害
「クライアント=神様」と思ったままでいることは、あなた自身の価値を下げ、大きな損につながります。
どのような損をするか、具体例を交えて説明していきます。
指摘や修正依頼に過剰反応してしまい、改善に活かせない
例:ライティングの納品後、「この部分、もう少し詳しく書いてもらえますか?」と修正依頼が来たとき
クライアントを神様扱いしている人
- 「やっぱり私にはできなかった…」「怒られた…」と先に落ち込んでしまい、なぜ修正が必要だったのかを考えられない
クライアントと対等な関係を築いている人
- 「読者にとってもっと分かりやすくしたいということか!」 とクライアントの意図を理解し、次回から気をつけるポイントが分かる
相手の発言を鵜呑みにしてしまい、結果的に非効率な方向に進めてしまう
例:クライアントから「この方法でやってください」と指示されたとき
クライアントを神様扱いしている人
- 効率の悪い方法でも疑問に思わず「承知いたしました」と従ってしまい、時間がかかりすぎてしまう
クライアントと対等な関係を築いている人
- 「この方法だと◯時間かかりそうですが、こちらの方法なら◯時間短縮できそうです。いかがでしょうか?」とより良い提案を行う
自分の意見を言えないことで、信頼ではなく“便利な人”と認識される
例:クライアントが「こんな感じのデザインでお願いします」とイメージを送ってきたとき
クライアントを神様扱いしている人
- 心の中では、こうした方がいいと思いながら「承知いたしました」と指示通りにこなすだけの作業者となる
クライアントと対等な関係を築いている人
- 「ご提案いただいたデザインをもとに、こんなアレンジはいかがでしょうか?」 と積極的に提案する
対等に話せないことで、フィードバックを得る機会や交渉のチャンスを失う
例:プロジェクトが終了したとき
クライアントを神様扱いしている人
- 「ありがとうございました」だけで終了してしまい、何が良くて何が改善点だったのか分からない
クライアントと対等な関係を築いている人
- 「今回のお仕事で、特に良かった点や改善できる点があれば教えていただけますか?」と具体的なアドバイスをもらって次に活かせる
多くのクライアントは「あなたと一緒に良いものを作りたい」と思っています。
必要なのはクライアントに対する敬意であって、服従ではありません。
プロジェクトを共に進める相手として対等に見る視点がなければ、適切な価値提供はできません。
あなたとクラアイントが対等である理由
クライアントと対等な関係を築くことで、あなたの価値はぐんと上がります。
「でも、お金をもらう側なんだから、やっぱり下の立場なのでは?」そう思っていませんか?
実は、これが大きな勘違いなんです。
価値の交換が発生しているから
あなたが、ピアノを習うと仮定します。
ピアノ教室の先生に月謝を払いますが、あなたは先生から見て「神様」でしょうか?
違いますよね。
先生=ピアノを教えるという価値を提供する
あなた=月謝(ピアノ指導に対する対価)を支払う
在宅ワークも同じです。
クライアントはお金と引き換えに、「あなたの時間・知識・労力・創造力」を受け取っているのです。
このとき大事なのが、あなたの価値を決めるのはクライアントであるということ。
必要以上に自分のことを下に見る必要はありません。初心者でもクライアントにとっては立派なパートナーです。
先ほども説明したように、多くのクライアントは「あなたと一緒に良いものを作りたい」と思っています。
あなたにもその意識がなければ、適切な提案や改善策を伝えることができず、クライアントからの信頼やリピートを獲得する可能性も下がってしまいます。
クライアントと対等な関係を築いて、自分の意見を述べ、「より良い提案をすることができる人」こそ、クライアントに「また頼みたい」「この人に相談したい」と思ってもらえる真のビジネスパートナーなのです。
プロジェクトは「共通のゴール」を持つものだから
在宅ワークは「お手伝い」ではありません。
「クライアントの課題解決」という同じゴールを目指すチームプレイです。
そのためには、以下の4つの行動が重要となってきます。
①対話(質問・相談)
⇒わからないことや困ったことは自分で判断せず、都度確認する
(例:ここの部分、もう少し詳しく教えていただけますか?)
②確認(進捗報告・方向性チェック)
⇒最後まで作業を進める前に、細かな進捗報告や方向性の確認を行う
(例:記事の構成を考えました。この方向性で進めて大丈夫でしょうか?)
③提案(改善案・アイデア)
⇒指示通りの内容で進めつつ、より良いアイデアがあれば提案する
(例:この部分、もう少し詳しく説明した方が読者に伝わりやすいと思うのですが、いかがでしょう?)
④軌道修正(途中での変更・改善)
⇒方向性を確認後の作業の途中でも疑問や改善に気づけば、変更や改善を申し出る
(例:作業中に気づいたのですが、ターゲットの年齢層を考えると、こちらの方が反応が良いかもしれません)
あなたの意見や気づきが、成功の鍵になります。
反対に、一方が遠慮しすぎてこれらのうちのどれかでも欠けてしまうと、結果的にプロジェクト全体に悪影響が出ることになるのです。
「クライアントの課題を解決したい」という想いをもって、対等な関係で協力し合いましょう。
「対等なパートナー」としての関わり方
では、具体的にどうやって対等な関係を築けばいいのでしょうか。
やってしまいがちな間違った姿勢の例と、重要な5つの原則をご紹介します。
間違った姿勢の例
| NGな姿勢 | NGな理由 |
|---|---|
| とにかく「言われた通り」に動こうとする | 考えていない人・代替案を出せない人と思われる |
| 指摘や修正依頼に対して萎縮する | 成長機会や信頼構築の場を逃す |
| 「すみません」が口癖になっている | ミスではない場面でも自分を下に置き続けると舐められる |
クライアントと対等な関係を築くために重要な5つの原則
報酬=責任と信頼の証として受け取る
依存ではなく「信頼されているからこその報酬」だと認識しましょう。
間違った考え方 :「私なんかにお金を払ってくれて申し訳ない…」
正しい考え方 :「クライアントが私を信頼して、大切な仕事を任せてくれている」
必要なことは、堂々と伝える
「言いづらいことも、プロとして伝えるのが責任」です。
特に納期や追加費用、優先順位は伝えないとトラブルの元になります。
例:途中で作業量が増えたとき
「当初の想定より作業量が増えましたので、追加費用について相談させてください」
言いなりにならない勇気を持つ
「クライアントの言うことが絶対」ではありません。
方向性がズレているときなど、プロとして気づいたリスクは伝える責任があります。
例:デザインで読みにくい色の組み合わせを指定された場合
「その色の組み合わせですと、文字が読みにくくなるリスクがあります。こちらの色はいかがでしょうか?」
議論を恐れず、改善を一緒に考える
「意見交換=衝突」ではなく、「より良い結果を作るための話し合い」です。
例:記事の構成で意見が分かれた場合
「ご提案いただいた構成も良いのですが、読者の年齢層を考えると、こちらの順番の方が理解しやすいかもしれません。どちらが良いか、一緒に検討していただけますでしょうか?」
相手のビジネスに貢献しているという自覚を持つ
あなたのスキル・アウトプットが、クライアントの成功に直結しているという責任感を持ちましょう。
例:ECサイトの商品登録の場合
言われた通りに入力するだけでなく、「この商品説明、●●という表現の方が売れそうです」と提案する
最終的には「信頼関係」よりも「成果関係」
何度も言うように、クライアントは「課題を解決」するために対価を払って我々に依頼をしています。
即レスや挨拶など、気を遣うことはもちろん大事ですが、それは当たり前のこと。
それに加えて、結果が見える人・結果を出してくれる人の方が、より評価され継続につながります。
自分がクライアントの立場になった場合を想像してみてください。
Aさん:とても気さくで依頼はしやすいけど、小さなミスが多い
Bさん:メッセージは少し事務的だけど、ミスゼロで提案もしてくれる
あなたがお金を払って依頼をするなら、Bさんを選ぶのではないでしょうか?
クライアントと親しくなることも大事ですが、「馴れ合い」ではなく「成果に責任を持つ関係」であることを大前提として忘れないようにしましょう。
信頼は「実績×一貫性×伝える力」で生まれる
ここでは、「信頼関係は必要ない」と言っているわけではありません。
ご紹介してきたように、クライアントと対等な関係を築き、仕事での成果を出していけば、おのずと信頼は生まれていくものです。
特に、「実績」「一貫性」「伝える力」の3つをまんべんなく意識すると、クライアントからリピートされる信頼関係を築くことができますよ。
①小さな実績の積み重ね
- 納期を守る
- 品質基準を満たす
- 期待を少し上回る成果を出す(例:「3日で完成させます」→ 2日半で完成させる)
②いつも同じレベルを保つ一貫性
- 忙しいときでも品質を下げない
- 体調が悪くても納期を守る
- どんな案件でも同じ丁寧さで対応
③成果を相手に分かりやすく伝える
- 「記事が完成しました。ターゲットキーワードを3つ含め、読みやすさを重視して作成しました。」
- 「◯◯の部分で技術的な課題があります。解決方法を2つ考えましたので、どちらがご希望に近いかご確認下さい。」 など
対等に働く第一歩:提案・確認・報告の3点セットを習慣に
ここまで、あなたがクライアントと対等な関係を築くために大切なことをお話ししてきました。
最後に、自分の姿勢で以下の要注意サインに当てはまるものがないか、再確認しておきましょう。
クライアントとの関係における要注意サイン
- すぐ謝ってしまう
- 無理な依頼でも断れない
- 会話中に「失礼かも」と常に萎縮している
- フィードバックを「怒られた」と受け止めてしまう
これらはどれも、「あなたがクライアントよりも下の立場になろうとしている」サイン。
ただ依頼を受けて作業するだけでは、「便利な人」で終わってしまいます。
「相手の課題にどのように貢献できるか?」を常に考え、「この方向で合っていますか?」「こうすればもっと良くなると思います」など、一歩先のコミュニケーションを行うことが、信頼と対等な関係の構築につながります。
ぜひ今回ご紹介した内容を念頭に置き、まず第一歩として「提案・確認・報告」の3点セットを習慣にすることを意識しましょう!

